自宅にファイルサーバーを建てて、しばらく運用していると一度は考えるのが「もう少し速くならないかな?」という話です。
実際のところ、1Gbps環境でもファイルコピーが120MB/s前後出ていれば、日常用途ではほとんど不満はありません。実際自分は3DCG用途でもあまり不満はなく、現状のままでも問題ないように思っています。
小さいファイルや設定ファイル、ちょっとした素材のやり取りなら、転送時間を意識する場面は少ないはずです。
ただ、シミュレーションデータや連番画像、生成AI関連の中間データなど、100GB単位のデータを扱い始めると話は変わってきます。ここでは「今の1Gbpsをどう考えるか」「速度を上げる選択肢には何があるか」を整理してみます。
現在の1Gbps環境の立ち位置
自分のファイルサーバーは古いノートPCにUbuntuをいれて、外付けハードディスクをUSB3.0で接続しSambaで構築しています。LANはスイッチングハブ等すべての環境で1Gbpsになっています。

1Gbps(1GbE)の実効速度はおおよそ110〜120MB/s程度で、実際自分の環境ではそれに近い速度になっています。規格上の上限にかなり近く、設定やチューニングではこれ以上の速度増加は見込めない状態です。
ということでもあります。つまり遅いというより1Gbpsを使い切っている状態です。
そのため、1Gbps環境で120MB/s前後出ているなら、設定をいじっても劇的に速くなる余地はほぼありません。
10GbEにした場合の速度と構築コスト
最も分かりやすく速度を上げる方法が10GbE(10GBASE-T)です。
理論上は10Gbps、実効でも900MB/s前後が狙えるため、1Gbpsとは別世界の速度になります。NVMe SSDを使ったサーバー構成であれば、ストレージ性能をほぼフルに活かせます。
ただし、現実的なハードルも高めです。
・10GbE対応NICが1台あたり1.5〜3万円
・10GbEスイッチが6〜10万円クラス
・Cat6A以上のケーブルが必要
ファイルサーバーとPC数台をまとめて10GbE化すると、合計で10万円を軽く超えるケースも珍しくありません。家庭用、個人用だとちょっと予算的に厳しい感じがしますね…。

10GbEは「NVMe前提」「大容量データを頻繁に移動」「コストより効率優先」という用途向けと言えます。もちろんスピードは欲しいですが、そのコストを掛けないといけないような状態でもないのも事実です。
折衷案としての2.5GbE
最近現実的な選択肢として注目されているのが2.5GbE(2.5GBASE-T)です。
実効速度は260〜280MB/s程度で、1Gbpsの約2倍強。100GBのデータ転送で考えると、
・1Gbps:約14分
・2.5GbE:約6〜7分
と、待ち時間がはっきり短縮されます。
構築コストも比較的低く、
・2.5GbE NIC:数千円
・2.5GbEスイッチ:1〜2万円前後(安いと1万円以下)
・既存のCat5e/Cat6ケーブルが流用可能
と、10GbEに比べてかなり導入しやすいのが特徴です。設定も1Gbpsとほぼ同じで、刺すだけで使える点もメリットです。
個人用途だと2.5GbEはコストとメリットのちょうど折衷案という感じがしますね。
現実的に、260〜280MB/s程度でていればそうそう困ることは無いように思います。

個人用途でのHDDサーバーやSATA SSD中心の構成では、2.5GbEは非常にバランスの良い選択肢になりそうです。
お小遣いの範囲で何とかできそうなところがいいですよね。
※5GbEもありますが、あまり普及してないようなので例に入れてません。5GbEは速さなら10GbEにするし、コスパなら2.5GbEになるというちょっと不憫な子でもあります…。
1Gbpsのままで問題ないケース
一方で、すべての環境で速度アップが必要というわけではありません。2.5GbEがコスパがいいと言ってもやはりコストはかかります。
・小〜中サイズのファイルが中心
・大容量転送はたまにしか発生しない
・転送中に別作業をしていて待ち時間が気にならない
3DCG用途でもレンダリングの保存先やシミュレーションの保存先になりますが、そもそもデータが大きいだけで、書き込み・読み込み速度がレンダリングやシミュレーションの速度を妨げるものではなかったりします。
こういった使い方であれば、今の1Gbps環境は十分に快適です。むしろ安定性や静音性、消費電力の低さという面では、1Gbpsは非常に優秀です。
10Gbpsを超える世界も一応存在する
少し余談になりますが、10Gbpsより上のネットワーク規格も実際には存在します。
25GbE、40GbE、100GbEといった規格は主にデータセンターやHPC(高性能計算)向けで、実効で数GB/s〜10GB/s超といった桁違いの速度が出ます。NVMe SSDを複数束ねた構成や、大規模な並列処理を前提にした世界です。
ただし、これらは
・NICやスイッチが非常に高価
・消費電力や発熱が大きい
・光ケーブルや専用DACなど取り扱いが難しい
といった理由から、家庭用ファイルサーバーでは完全にオーバースペックになります。すごくお金はかかるけど、とんでもなく速い世界があるという、個人用途側から見るとちょっとロマンの世界ですね。
まとめ:どこを目指すかで正解は変わる
・1Gbpsは完成度が高く、日常用途では十分
・100GB単位のデータを頻繁に扱うなら2.5GbEが効く
・NVMe前提で本気の高速化を狙うなら10GbE
特に2.5GbEは、コスト・速度・手軽さのバランスが良く、「もう少し速ければいいのに」という不満を素直に解消してくれます。まずはメインPCとファイルサーバー間だけを2.5GbEにして運用するのもアリかもしれません。
今の1Gbps環境をベースに、必要になったタイミングで2.5GbEへ部分的にアップグレードする。そういう段階的な考え方が、家庭用ファイルサーバーでは一番現実的なのかなと思いました。


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