なぜ今さらRaspberry Pi 3をベンチマークしたのか
手元で使っているRaspberry Pi 3は、いまどきの基準で見るとかなり古い部類に入りますが、ファイルサーバやSSH、Git置き場など、常時起動の用途では今でも現役です。
とはいえ「遅い遅い」と言われがちなので、実際どの程度の性能なのかを改めて数値で確認してみることにしました。
使用したベンチマークツール
今回使ったのは sysbench です。インストールが簡単で、CPUとメモリの両方をCLIだけで計測できるのが理由です。条件を揃えれば他のマシンとも比較しやすいのもポイントですね。
CPUベンチマークの結果
まずはCPUベンチマークです。cpu-max-prime=20000 という軽めの条件で測定しました。いわゆる素数計算を行うベンチマークです。
シングルスレッド
events per second は約240でした。これはRaspberry Pi 3のCortex-A53(1.2GHz)としてはほぼ想定どおりの数値です。体感的に「もっさり」なのも納得の結果ですね。

4スレッド(全コア使用)
threads=4で回したところ、events per second は約960になりました。シングルスレッドのほぼ4倍で、スケーリングはかなり綺麗です。CPU自体は素直に性能が伸びることが分かります。

CPU性能の比較目安
同じ sysbench 条件で測った場合のおおよその目安をまとめると、こんな感じになります。
| 環境 | threads | events/sec(目安) |
|---|---|---|
| Raspberry Pi 3 | 1 | 200〜260 |
| Raspberry Pi 3 | 4 | 900〜1000 |
| Raspberry Pi 4 | 4 | 2500〜3500 |
| 古いPC(i5第4世代) | 4 | 1200〜1800 |
| デスクトップ i7-12700 | 多数 | 4000〜6000以上 |
こうして見ると、Pi 4との間にはCPUだけでもかなり差があることが分かります。ラズパイ世代間の能力差は結構えげつない感じがありますね。
メモリベンチマークの結果
次に sysbench memory を使ってメモリ性能を測定しました。ブロックサイズは1KiB、合計10GBを書き込む条件です。

結果はおよそ 1097 MiB/sec、つまり約1.1GB/s でした。これもRaspberry Pi 3のLPDDR2メモリとしてはごく妥当な数値です。
メモリ性能の比較目安
メモリ帯域の実効値をざっくり比較すると、次のようなイメージになります。
| 環境 | 実効メモリ帯域(目安) |
|---|---|
| Raspberry Pi 3 | 0.8〜1.2 GB/s |
| Raspberry Pi 4 | 3〜6 GB/s |
| 一般的なPC(DDR4) | 15〜25 GB/s |
CPU以上に、メモリでPi 3とPi 4の差が開いているのが分かります。今となってはメモリ帯域はかなり貧弱ですね…。
数値から見えるRaspberry Pi 3の性格
CPUはマルチコアで綺麗に伸びる一方、メモリ帯域は早めに頭打ちになるようです。このため、計算量よりもメモリアクセスが多い処理では一気に苦しくなってしまいそうですね。
いまから買うとしたら古いラズパイを買うメリットはほとんどないですが、SambaやSSH、Git、軽いスクリプトなどの用途では、役割を割り切れば今でも十分実用的です。「遅いマシン」ではありますが、もう使えないほど旧式という訳ではないようです。
オークションサイトなどを覗いてみると、Raspberry Pi 3はおおよそ2000~3000円くらいで取引されているようで(ジャンクとかだと数百円みたいのもありますが)、10年程度前のワンボードコンピューターとして考えると結構高値なのかなとも思います。つまり今でも「用途によっては使える」という位置づけなのだと思います。
まとめ
改めてベンチマークを取ってみると、Raspberry Pi 3は数値どおりの素直な性能をしていました。Pi 4とはCPU・メモリともに世代差があり、体感差が大きいのも納得です。
ただし、常時稼働の下回りサーバとして使うなら、今でも十分戦える場面はあります。古いからといって即引退させるのではなく、役割を絞って使うのが正解だと感じました。


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